【書評】『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』の要約まとめと感想

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

空前のベストセラーになっている『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』を読みました。

お金の話、経済の話と聞くと、やや取っつきにくい印象を持つ人も多いかもしれませんが、『お金2.0』は単なる経済書ではなく、世の中の成り立ちや人々の生き方について書かれた『社会全般の解説書』だと感じました。

それに新しい常識の変化に関する話をしながらも『なぜ人々は変化を受け入れられないのか』という部分にもしっかりフォーカスされているので、誰にとっても優しく読みやすい本であることは間違いないです。

それに『これからの時代をどう生きるべきか』という、恐らく誰もが関心を持つであろう内容も語られていて、まさにこれからの時代を生きるために必要な考え方が詰まった、超スーパーウルトラ良書です。

ここ最近で読んだ本の中でもトップクラスに面白かったので、本記事では『お金2.0』の要約をまとめつつ個人的な感想も記してみますが、ぜひこの記事を読んで終わりではなく、実際に買って手にとって読んでいただきたいです。

お金って一体なんなの?

お金には3つの役割があります。(価値の保存、価値の尺度、価値の交換)

元々お金は物々交換の不便さを補う仕組みとして発達し、現存最古のお金は紀元前1600年頃の貝殻だとされてます。(腐らないし軽くて持ち運びもしやすいから貝殻は便利!)

そんなお金の持つ力が強くなったのは、今から約300年前の産業革命以降です。資本主義が広まったことで、お金がないと何もできなくなって、お金をたくさん稼ぐ人のプレゼンスが大きくなりました。

その結果、みんなお金を稼ぐことにフォーカスするようになったのです。

ちなみに現代では、中央銀行が法定通貨を発行するのが当たり前になってますが、その仕組みが本格普及したのは、この100年ほどの話です。(だから、最近出てきたブロックチェーンや仮想通貨が100年後に『常識』になっててもおかしくない)

経済とは欲望のネットワークである

経済を一言で表すなら『欲望のネットワーク』で、人間の欲望とは大きく3種類に分けられます。

  1. 本能的欲求:衣食住、性的欲求、家族への愛情
  2. 金銭欲求:たくさんお金を稼ぎたい
  3. 承認欲求:社会で存在を認められたい

経済(欲望ネットワーク)とは、人々が営む日常生活をうまいこと回すための仕組みですが、経済システムが発展していくために必要な要素は、以下のものが挙げられます。

  1. インセンティブ:報酬が明確であること(特に儲けたい、モテたい、認められたい、の3M)
  2. リアルタイム:時間による変化があると参加者が認知すること
  3. 不確実性:運と実力の両方の要素があって、そのバランスがいいこと
  4. ヒエラルキー:偏差値や年収や時価総額のような目に見える指標があること
  5. コミュニケーション:参加者同士の交流があること

これに加えて『持続的に』発展していくための要素として、

  1. 経済システムの寿命:『飽き』や『利益を享受できない人』への対策
  2. 共同幻想:価値観や理念に共感してもらう

この2点が重要になります。

例えば、身近な経済システムの例として『会社』がありますが、持続的に発展していく会社(魅力的な会社)とはどんなものでしょうか?

この7つの要素を全て満たした会社をイメージしていただければ、わかりやすいと思います。

また組織だけでなく、WEBサービスやメーカーに当てはめても同じことが言えますね。メーカーも『顧客のコミュニティ化』という視点で考えれば十分にこの考え方を応用できます。

経済と脳と自然の比較

また、経済と人間の脳は密接にリンクしています。(経済は人間の脳が作り出したものだから当たり前っちゃ当たり前ですが)

先ほどの『経済システムが発展するための5要素』を見ると、その全ては『人間の脳が快楽を感じる条件』とリンクしますよね。

報酬が得られると快楽を感じるとか、飽きやすいとか、他人との比較で快感を感じられるとか。

そして、経済システムと人間の脳は共通点ばかりですが、それと同様に『自然の秩序』とも類似点が多いです。

経済と自然と脳のように、複数の個が相互作用して全体を構成する現象を『創発』と言います。

例えば、あの有名な芸術家のレオナルドダヴィンチは、他にも建築や数学、幾何学、解剖学、生理学、天文学、物理学、気象学、土木工学などあらゆる分野に精通していたそうですが、これも単に多才だったということではなく、ダヴィンチには全て同じものに見えていただけではないかとも言われています。

つまり、自然も経済も脳(快楽)も、人間のフィルターを通して見ると「違うもの」として区別されるだけで、元々は全部同じなんじゃないかってことです。

なお、マルクスの社会主義が世の中に浸透しなかった理由は、私利私欲の否定や自発性の否定(中央集権の支配)など、自然界の摂理とは相反する仕組みを採用したことにあるかもしれません。

だから、何かコミュニティを作ったり、ビジネスを始めたり、人間関係を構築していくときには『それが自然界の摂理に当てはまるかどうか』という尺度で考えることも大事ですね。

テクノロジーが変えるお金のカタチ

今までの世界は『情報の非対称』がゆえに世界を統治する中央集権が必要でしたが、どこにいても簡単に世界中の情報にアクセスできる現代、そしてこれからの時代では、情報やモノの仲介には価値が生じなくなります。

そうじゃなくて、独自に価値を発揮する経済システムそのものを作る存在が力を持つようになります。

つまり、中央集権化から分散化へ。これがこれからの時代の流れです。

  • シェアリングエコノミー:UBERやエアビーとか
  • 評価経済:インフルエンサー、ライブ配信者、個々人の評価の見える化など
  • トークンエコノミー:仮想通貨経済圏など

こういった2010年代に普及してきた新しいブームも、これからは定番化するってことです。

こういう『分散化』に加えて重要になることですが、人工知能の発達により、膨大なデータさえあれば現在人間がやっている知的労働の大半が自動化されるようになると言われています。

絶対的な支配者(中枢機能)がいるわけでもなく、個々の存在がバラバラに存在しているはずなのに、うまい具合でバランスが取られている状態を『自律分散』と言いますが、これからは『自律分散型のシステム』が世の中のスタンダードになっていきます。

例えば、今このサイトを見る際にも使われているインターネット。

インターネットも絶対的な管理者や統帥者がいなくても、みんながバランスをとりながらうまい感じで回ってますよね。

かつて、グーテンベルグという人が活版印刷技術を発明したことで、庶民が安価で情報を入手できるようになりました。

それまで『情報』とは王様とか聖職者とか特定の人しか持ち得ないものでしたが、印刷技術が発明され本が普及することで『知識を独占できる』ことの価値や希少性なんて全くなくなってしまったのです。

これを『知識の民主化』と言いますが、今じゃみんな知らないことは全部Google検索で一発で解決しちゃうわけですから、情報を持つことの意味なんて皆無になったし、スマホを持ってる人の全員が『歩く辞書』なわけです。

そして、今は自律分散型システムのおかげで、テクノロジーさえあれば自分で経済圏を作ることができるようになりました。

この『経済の民主化』の結果、世の中の在り方、誰が力を持つかは大きく変わっていくでしょう。

資本主義から価値主義へ

現在の世界を支配している主義は『資本主義』ですが、今って『お金にはならないけど価値の高いもの』ってめちゃくちゃ存在すると思うし、それって『生まれた時から満たされてる』のが普通な世代が大人になっていく現代ではどんどん増えていますよね。

つまり、お金と価値の関係がどんどん薄くなってるし、『価値を媒介する手段』をお金が独占してるっていう状態の不自然さは日に日に高まり、終焉に近づいていってるわけです。

例えば、お金が全くなくても、Twitterやインスタのフォロワーがめちゃくちゃ多い人がお店を出そうとしたら、たくさんの支援者やお客さんが名乗り出てくれます。またPVが多いブロガーは戦略次第でなんでもできます。

インターネットが普及したことで、人々が『価値の保存手段』を選べるようになったのです。

前提として『お金は価値を表現するためのもの』と考えてほしいのですが、これからは可視化された後の『資本(お金)』ではなくて、お金などの資本に変化する前の『価値』を中心とした世界に変わっていきます。(お金が価値を反映しなくなったから)

つまり、資本主義から価値主義に変化していくのです。

内面的価値の時代がやってくる!

お金っていうのは『価値』を『今僕らが生きている世界の中で使える形』に変換したものに過ぎないわけですが、そもそも『価値』とは以下の3つに分類されます。

  • 有用性としての価値(=機能的価値:役に立つか)
  • 内面的な価値(=情緒的価値:愛情や共感や信頼など)
  • 社会的な価値(=社会全体の持続性を高めるもの)

資本主義の最大の問題点は『有用的な価値』しか重視できないことにあります。愛情とか共感とかって数値化できないですからね。

だけど、近頃ではテクノロジーのおかげで内面的価値の数値化もされやすくなってます。例えば、YouTubeのGoodとかSNS投稿のリツイートやいいねボタンなど。

これからは『内面的な価値』が重視される時代です。

人工知能などのテクノロジーが急速に発達すると、今の世の中に存在する大半の労働は価値を失う可能性もあります。

その時は大半の人が失業する可能性が高いですが、ベーシックインカムの導入を検討する国も増えるでしょう。そうなると『お金』は『あったら便利なもの』程度の存在になり、お金自体の価値も下がっていきます。

お金から解放された生き方

価値主義が普及したら、個人の働き方はどのように変わっていくのでしょうか。

1980年〜2000年頃に生まれた『ミレニアル世代』以前は、世の中は足りないものだらけで、足りないものを埋めるためならいくらでも頑張れました。

でも、ミレニアル世代以前の人たちが頑張った礎の上に生まれてきた世代は、生まれながらにして満たされた状態なわけだから、何を目標に頑張っていいのかイマイチわからないのです。

そんな不完全燃焼みたいな感覚が、多くの人を不幸にしているわけですが、物質的に満たされた時代では人々は精神的な充足感を満たすために活動するのが自然です。

だから『人生に意義や目的を見いだせること』自体が価値になるし、『人生の意義や目的』を他人に提供できる人や組織の価値は自ずと上がっていくでしょう。

そして、人間の内面的価値(共感、熱狂、感謝、愛情、信頼、憧憬)にフォーカスして、満たしていく人、他人のそれらを満たしてあげられる人が成功する世の中になっていき、自ずと『好きなことに熱中している人』ほど成功しやすくなっていきます。

自分自身が心から熱中できることはなんだろうか、やるべきことではなく『やりたいこと』はなんだろうか、それを見つけるためにガンガン動いてみることが何より重要な時代です。

今まで多くの人は『お金を稼ぐため』に働いていましたが、今は『価値』と『お金』の関係性が薄まっていっているわけですから、お金のためではなく、自分の価値を高めて自分のブランドを作るために働くべき時代です。

お金は単なる『便利なツール』として捉え、そこに本来無関係な感情を入れるべきではありません。そういう意味でも『お金から解放された生き方』ができる人ほど、その人なりの『成功』に近づいていける人なのだと思います。

【まとめ①】常識は塗り替えられるもの

『お金2.0』を読んでいて特に強く感じたのは、『常識は塗り替えられるものなんだよ』っていう説明が各所でかなり詳しく展開されていたなぁということ。

世界が違えば常識は違う、常識は自分で選択していい、フィールドが違えばルールも違う、常識は人間の想像が作り上げたものに過ぎないし時代が変われば新しい時代の人によって上書きされていく…

そんな『常識とは何か』といった内容が非常に丁寧に語られていたのが印象的でした。

どうしても未だに『常識』に縛られて苦しい思いをしている人は多いけど、『あなたには未だ知らない世界がある』と伝えてあげて、その世界を見せてあげるだけでも救われるケースって本当に多いです。

だから、これからの時代を楽しく生きていくための前提条件として、『知見を広げる』、『想像力を膨らませる』、『感情論や自尊心に縛られることなく、客観的な視点で世界のあり方を考えてみる』ということは必要になります。

ただ、時代の変化に対応できる人は、頭でっかちにならずに『とりあえず動いてみる人』であることも間違いないです。

好奇心や感性を高めたり『想像力や思考力のクオリティ』を高めるために必要なのは、とりあえず動いてみること、動くのを途中でやめないことです。

【まとめ②】個人の生き方は自分で決めていい

僕は2013年の6月に『これからって別にスキルさえあれば個人でも生きていけるんじゃないか?』と思い、その後に読んだ堀江貴文さんや安藤美冬さん、立花岳史さんらの本にも背中を押される形で『起業』という道を選択しました。(あと『週4時間だけ働く』とか『金持ち父さん貧乏父さん』も)

当時は『成功しないわけがない(というか失敗という概念がない)』と考えたブログビジネスから始まり、そこからは法人・個人のWEBマーケティングやブランディングのコンサルティングやビジネスプロデュースを中心にお仕事させていただいてますが、僕が副業でビジネスを始めたばかりの頃に周りの大人たちは皆『上手くいくわけない』と言っていました。

そして、それを本業にしようとした時も『副業のままでいいんじゃないか』と色んな人から言われました。

でも、今は時代の流れも大きく変わって、YouTuberさんとかブロガーさんとか、個人のビジネスで生計を立てて、それぞれの価値観を発信して影響力をつけている人たちがたくさん出てきました。

人工知能がシンギュラリティに達したら、今ある仕事のほとんどがなくなると言われ出し、『このままじゃヤバいかも』と思い出す人もやっと増えてきました。

中央集権的な資本主義から個人が輝く価値主義の時代へ。

当時の僕がそんな言語化はできていたわけは当然ありませんが、ぼんやり思っていたことが、こうして現実の世界で広がりつつあることに不思議な感動すら覚えています。

会社がつまらないとか働く意味がわからないとか、僕が当時思っていたのも、『生まれた時から満たされていた世代特有の価値観だ』という論調が徐々に広まりつつあり、そこについても嬉しく思います。甘えもあるかもしれないけど『甘え』と暴力的にカテゴライズされることにも抵抗はあるので。

いずれにしても、今って本当に時代の過渡期だと言えるし、だからこそ古い体質の日系企業の雰囲気とか昭和的な価値観やノリに合わないなぁと思う人がいたら、それってチャンスだと思うんです。

個人の価値を高めていく人にとって、どんどん有利な時代になっていくし、そもそも『個人の生き方は自由に決めていい』時代になっていくから。

僕は起業という道を選択して、それを心から良かったと思ってます。

こうして文章を書いたり、ブログを作ったり、マーケティングを考えたりすることが、趣味的な熱量で楽しめちゃうなんて当時は想像すらできませんでしたが、『自分の人生を自分でコントロールできてる感』を持って生きられることに勝る幸せがないのも確かです。

今という時代ほど、自分のやりたいことが実現できる時代はない。

そういう前提のもと、楽しい人生を送っていきたいし、そういう仲間がもっともっと増えればいい。そんな思いで心を震わせてくれた名著でした。