フロントエンドとバックエンドとは|利益を最大化させる商品マーケティング戦略の基礎

マーケティング戦略

商品マーケティング(特にダイレクト・レスポンス・マーケティング)のビジネス戦略を練る上で欠かせないのが「フロントエンド」と「バックエンド」という考え方です。

企業(事業主)のビジネスを支えるのは利益率の高い高単価商品であることが多いものの、いきなり顧客に高単価な商品をオファーしても、普通は成約に至りにくいものです。また高単価な商品が売れているけど、顧客数が少なすぎる場合は、特定少数の顧客に対する依存度が高くなってしまうので健全なビジネスができているとは言えません。

そこで大事になってくるのが「フロントエンド→バックエンド」というマーケティング戦略です。

本記事では「質の濃い顧客を育てる方法がわからない」「顧客の数は多いけど売上額に結びつかない」「特定の顧客に依存しすぎている気がする」というお悩みをお持ちの方に推奨したいビジネスの考え方をお伝えしていくので、ぜひ最後までお付き合いください。

参考:マーケティングファネルとは|事例と図解で初心者にもわかりやすく解説!

フロントエンド商品とバックエンド商品の違いとは

フロントエンド商品とは

フロントエンド商品とは顧客に対して最初に販売する商品のことを言います。

まだ商品を購入したことのない新規の見込み客との間には、最初の段階では信頼関係が構築できていないのが普通です。そんな時に自社が本当に売りたい高額商品をいきなり成約してもらおうとしても、普通は難しいですよね。(エルメスやポルシェのように圧倒的な高級ブランディングができていれば別ですが…)

なので、最初は「とにかくたくさんの人に自社の商品に触れてもらうこと」を目的に、安価で購買のハードルが低い商品を提供していきます。

したがって、

  • 誰でも手に取れるような低価格帯、もしくは無料
  • 顧客の質よりも顧客の数を重視
  • 目的は利益をとることよりも購入者(体験者)を増やすこと

といった特徴のある商品をフロントエンド商品として提供していくのが効果的です。

バックエンド商品とは

バックエンド商品とは、フロントエンド商品の購入者に対して、次に販売していく本命商品のことです。

フロントエンド商品が低価格帯で多くの人に手に取ってもらう商品であるのに対し、バックエンド商品は高価格帯で少数の限られた人にのみ購入してもらう商品という位置付けになります。

したがって、

  • 本当に価値を感じてくれた人が購入できるように高価格帯
  • 顧客の数よりも顧客の質を重視
  • 目的は購入者数を増やすことよりも売上(=利益)を獲得すること

といった特徴をもつ商品をバックエンド商品として提供していくのが効果的です。

フロントエンドとバックエンドの目的は違う

同じ「販売」だけどそれぞれ目的が違う

「商品を売ること」の目的を問われたら、多くの人が「お金を稼ぐこと」という答えをイメージするかもしれません。

しかし、実は状況や戦略次第、あるいは販売する商品によって、「販売することの目的」は変わってきます。

今回のフロントエンド商品とバックエンド商品の場合は、

  • フロントエンド:購入者リストを集めて価値を感じてもらうこと(集客→顧客教育)
  • バックエンド:実際に利益を回収すること(販売)

となります。

つまり、本当の意味での「販売(=利益回収)」の役割を担うのはバックエンド商品で、フロントエンド商品は「集客と教育」が目的になるのです。

損して得をとるマーケティング戦略

フロントエンド商品は安価で(あるいは無料で)大量に販売するので、フロントエンド商品の販売そのものでは利益を得ることが困難です。あるいは商品生産コストや広告費を考慮すると赤字になる可能性もあります。

ただフロントエンド商品の目的は、あくまで購入者リストを集客することにあります。

従って、フロントエンド商品の販売は利益度外視で行い、利益の回収はバックエンド商品で行っていくということです。

よく「フロントエンド→バックエンド」の販売戦略は損して得をとるマーケティングだと言われていますが、必ずしも売上額を伸ばすことだけが、商品を販売する目的ではありません。

他の高利益率の商品(バックエンド)を売るための集客用の商品(フロントエンド)も存在することを知れば、マーケティングも更に効果が高まりますね。

フロントエンド、バックエンドの具体的事例

具体的にフロントエンドとバックエンドにはどのようなものがあるでしょうか。実際のビジネスの事例からご紹介していきます。

  • 英会話教室:無料授業体験 → 有料の通年授業
  • コスメや健康食品:トライアルセット → 定期購入
  • 居酒屋やホテル:安価なランチ → 夜のコースや宴会利用
  • スマホアプリ:無料ダウンロード → 有料課金
  • WEBサービス:無料プラン → 上位プランへのアップグレード

最近ではLINEマンガやNetflixなど、マンガや映画などのコンテンツをオンライン上で楽しむ人も増えてきていますが、「1巻〜3巻までは無料」とか「初回1ヶ月間は無料体験可能」といったように、まずは商品に触れてもらい価値を体感してもらうことが何より重要です。

他にも、例えばマクドナルドのようなファストフード店は、ハンバーガーのような看板商品は実は利益率が低く、ポテトやドリンクなどの利益率が高い商品とのセット販売で利益を回収しているというのは有名な話です。

このように日常を見渡してみれば、実に多くの業種で「フロントエンド→バックエンド」の流れが採用されていることがわかります。

フロントエンド商品とバックエンド商品の作り方

低価格帯の商品しか用意できていない場合

低価格帯の商品しか用意できていなくて、顧客数の多さに対して利益が伸びていないという場合は、思い切って高価格帯のハイエンド商品をバックエンドで用意してあげましょう。

高価格帯の商品を作る際のポイントは、自分が提供できうる最高の商品やサービスを作ることです。もし、自分自身の元に「あなたができる最高のサービスを受け取りたい。お金はいくらでも払います」という逆オファーが届いたら、一旦どんなものをその人のために提供してあげるでしょうか。

まずは、自分のできる上限から考えていって、具体的に実現可能な商品へと落とし込んでいき、高価格帯のバックエンド商品を作ってあげましょう。

例:1対多人数のレッスンをやっているなら、個別のオーダーメイドレッスンを最上位コースで作ってあげる

高価格帯の商品に依存してしまっている場合

現時点で「高価格帯の商品を少人数に販売すること」しかできていない場合ですが、高価格帯の商品がそれだけ売れているのは高いブランド価値が認知されている証拠です。

ただ、少数の上客に依存している状況はリスクが大きいので、より多くの人に価値を認知をしてもらうためのアプローチをしていくべきです。

現時点で販売している商品を、より低価格でお試し的に販売できるようにできないかを考えてみて、低価格帯のフロントエンド商品を作ってあげましょう。

例:個別のコンサルティングやレッスンを行なっているなら、より安価なセミナーやオンライン教材等での販売も検討してみる。

価値作りと価格設定のポイントは?

当然ながら、商品設計をする際には、価格が高い商品をより高付加価値にする必要があります。つまりバックエンド商品はフロントエンドよりも価格が高くなる以上、価値の大きさは「バックエンド>フロントエンド」にならないといけません。

価値を大きくするためのアイデアは様々なものがありますが、

  • 顧客ひとりひとりに寄り添ったオーダーメイド商品
  • オフライン(リアルな場)での徹底的な個別対応
  • 価値の具体度を高める(大規模な学習塾より個別指導の家庭教師)

といったアイデアは比較的採用しやすいのではないでしょうか。

例1:英会話スクールの場合

フロントエンド:オンラインで視聴可能な有料動画教材

ミドルエンド:大人数でのグループ指導

バックエンド:対面でのオーダーメイド個別指導

フロントエンド→ミドルエンド→バックエンドとなるにつれて、価値提供者(英会話スクール側)の労力と価値需要者(生徒側)の受け取れる価値の具体性が高まっていますよね。

ここから更に深くバックエンドを作りたいなら「課外授業」のような体験型の価値(オフラインでの価値)を増やしていけばいいし、更に浅いフロントエンドを作りたいなら「YouTubeで英会話のワンポイントアドバイスや今すぐ使える言い回しの動画を公開する」ような無料コンテンツを公開していくといいですね。

更にもう1つ例を出してみましょう。

例1:スーツの仕立て屋さん(テーラー)の場合

フロントエンド:安価な既製品の大量生産・大量販売

ミドルエンド:オーダーメイド商品の受注

バックエンド:ファッションコンサルや月額制の専属コーディネーター

こんな感じで、提供価値をリアルかつ個々人に寄り添うものへとグレードアップさせていけばいいですね。

あらゆる業界でこの手法は効果的ですので、ぜひ様々な業種に当てはめて考えてみてください。

フロントエンド・バックエンド戦略の注意点

ウェブマーケティングに関するイラスト

まずはバックエンドから考えよう!

これから「フロントエンド→バックエンド」というマーケティングの流れを作っていく時に多くの人がやってしまいがちなのが「まずフロントエンド商品から考える」ということ。

顧客視点で考えると、まずオファーされるのはフロントエンド商品になるわけだから、その順序で考えてしまうのも無理はないかもしれません。

ただ顧客に対して本当に価値のある商品を提案して、最高のユーザー体験を得てもらうためには、まず「自分が提供できる最高の商品」から考える必要があります。

でも現実的に「最高の商品」を無限に生産することも販売することもできないわけで、その商品を手に取れない人に対して「ごめんね。でも代わりにこれだったら提供できるよ」と提案できる商品やサービスを作っていく、という流れの方が「自然」だと思うんですよね。

だから、フロントエンドは、バックエンドを購入できない人に対する代替品であり、お試し的な商品という感覚で捉えていただければ、商品ラインナップを設計しやすいのではないでしょうか。

フロントエンドの顧客にもちゃんと満足してもらおう

バックエンド商品を売るために、フロントエンド商品の質や顧客満足度を敢えて落とそうとする人もいますが、それはやめた方がいいです。

最終的に「もっと価値を受け取りたい」と感じてもらうことは必要ですが、フロントエンド商品に対して価格以上の価値を感じてもらえなければ、そもそもバックエンド商品を欲しいと思ってはくれませんからね。

例えば、ディズニーランドの場合は入場料がフロントエンドで、園内での飲食やグッズ購入がバックエンドという見方もできます。その場合、ディズニーランドが楽しくないと、わざわざグッズを買いたいとは思わないはずです。

また無料マンガアプリの場合も、無料で読める範囲で価値を感じてもらえなければ、有料コンテンツの成約にも至りません。

わざと不満足な商品を提供し「満足したければお金を払ってね」という売り方では信頼残高を下げるだけなので、まずはフロントエンドの顧客にもしっかり価値を提供していきましょう。

フロントエンドはバックエンドの内容を内包させる

またフロントエンド商品を作る際には、バックエンドの内容を内包させた方がいいです。

例えば、インターネット上でのコンテンツ販売では、

  • 個別コンサル(バックエンド)の内容を元にセミナーを開催する(ミドルエンド)
  • セミナー(ミドルエンド)を動画教材にしてコンテンツ販売する(フロントエンド)

という流れで商品を作っていくのが定番ですが、フロントエンド購入者はミドルエンドの内容を踏まえたコンテンツを受け取るので、次はミドルエンドを購入しようという気持ちになりやすくなります。同様にミドルエンド購入者はバックエンドの内容をベースにしたコンテンツを受け取るので、次はバックエンド…となりますよね。

またディズニーリゾートの例でいうと、東京ディズニーシーの園内でホテルミラコスタを見た入場者は「今度はあそこに泊まりたいね」という気持ちになります。そして実際にミラコスタに宿泊した顧客の一部は「結婚式はミラコスタでやりたい」と思うようになるでしょう。

もし、ミラコスタがディズニーリゾートの園内になければ、そこまでの営業成績には繋がっていないのではないでしょうか。

マーケティングが上手くいっていない人の多くは、フロントエンドの顧客に対してバックエンドの内容を明かそうとしません。そしてセールスの時になっていきなり高額なバックエンド商品の説明をし始めるわけですが、これでは顧客も呆気にとられてしまいます。

バックエンドのゴリ押しはやめよう!

フロントエンド商品の購入者に対して、バックエンド商品をゴリゴリ煽って押し売りするようなことは基本的にはしない方がいいです。

そうではなくて、フロントエンド商品でしっかり価値を提供することで、自然と「もっと価値を提供してほしいな」と顧客に思ってもらうような健全なセールスをしていくべきですね。

そもそもバックエンド商品は誰にでも売っていいものではないですし、バックエンド商品の購入者は販売主にとって、同じ理念をより深いレベルで分かち合えるような濃い関係性の顧客になっていきます。

特に日本人の民族性は「1人の後ろに100人の見込み顧客がいる」口コミと紹介の商慣習を作り上げているのも事実ですので、既存顧客との関係性を重視しつつ、自然と継続したくなり自然と紹介したくなる商品をデザインしていけるといいですね。

バックエンドはあなたの象徴となる顧客を選ぼう

バックエンド商品の購入者は、販売者にとって最も関係性の濃い顧客になります。そして、販売者(商品)のブランドを作るのは、いつだって濃い顧客です。

例えば、航空会社のファーストクラスのユーザーがあまりにも態度が悪かったり評判の悪い人物であれば、一般ユーザーはそのポジションに対して魅力を感じなくなりますし、ファッションブランドのロゴが入ったTシャツをダサい人が着ていれば、そのブランドは「ダサいブランド」として認知されてしまいます。

従って、ブランド価値を高めていくためにも、ハイエンド商品となるバックエンドの購入者は、あなたのブランドの象徴になっても問題のないような人物(あなたのブランド価値を高めてくれるような人物)を選んでいきましょう。従って、品のない煽り文句等で誰彼かまわずセールスをかけない方がいいということですね。

最後に

良いビジネスとは「生涯顧客価値(LTV)が高いビジネス」であると言われていますが、LTVが高いビジネスを実践するためには、顧客との間の関係性を長期間にわたって良好にし続ける必要があります。

そのためには「価値を感じてもらうための商品」としてのフロントエンド、「利益を獲得しながらブランドを体現してもらうための商品」としてのバックエンドという発想が重要です。

あらゆる業界で応用可能な考え方なので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。