メルマガやセールスレターなど、コピーライティングにおける最重要ポイントのひとつに「追伸」があります。
一般的に「追伸」というと、本文とは関係のないことを付け足したいときや、文章の読み手を気遣いたいときに使うもの、という印象を持たれるかもしれません。
しかし、セールスコピーでは「追伸」は非常に大きな効果を持つ箇所となり、追伸の書き方で売上やコンバージョン率が大きく変わるものです。
この記事では、効果的な追伸を書くポイントをご紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
メルマガやセールスレターにおける追伸とは
そもそも「追伸」とはどういう意味なのでしょうか。Wilipediaによるとこのように書かれています。
追伸(ついしん)とは、手紙などの最後に、付け加える形で足された文章のこと。二伸。英語のpostscriptの頭文字からP.S.とも書く。
通常、手紙の末尾、宛先・差出人名が書かれたさらに後に、「追伸」「追」「P.S.」と頭につけて書かれる。
手書きで作成することが多い手紙では、書き忘れた文を本文内に挿入することができない。また最初から書き直すのも大変なので、よく使われる便利な言葉である。よって、電子メールで追伸を使用するのは原理的にありえないはずだが、「追伸」をそれまでの話題を変えるための語、一呼吸置くための語として解釈している人が多く、現在ではそのような用途で使っている人もいる。
なお、目上の人に出す手紙を追伸で済ませるのは失礼とされ、面倒でも最初から書き直すのがマナーとされている。
出典:Wikipedia
つまり元々は「書き忘れた文章を文中に入れることは難しいから、あとで書き足したもの」ということですね。
しかし、メルマガやセールスレターにおける追伸の用途は少し違っていて、最後に念押ししたいことやどうしても伝えたいこと、あるいはもう一度文章を読み返してもらうための仕掛けとして使用されるケースが多いです。
コピーライティングにおいて「追伸」が重要な理由
コピーライティングにおいて、なぜ追伸が重要な意味を持つのか。
その理由は「追伸」は特に読者に読んでもらいやすいためです。
ライティングの鉄則に「3つのNOT」という広告における人間心理の三原則があり、その中でも最も重要な概念に「Not Read(読者はそもそも文章を読んでくれない)」というものがあります。
役に立つ文章や面白い文章を書いたら、無条件で読者が文章を読んでくれると思い込んではいけません。
情報過多なこの時代は、人々の暇を潰す道具で溢れています。
YouTube、ニュースアプリ、スマホゲーム、オンラインマンガ…etc.
このような暇つぶし道具が溢れている中、自分が書いた文章を最後まで真剣に読んでもらうのは至難の業。
そもそも『文章を読むのが得意ではない』という人ってめちゃくちゃ多いので(読書が苦手とか)、それも踏まえて『最後まで真剣に読んでくれる文章』を意識してライティングしていきましょう。
メールマガジンやセールスレターは紙媒体ではなく、スマホやPCの画面上で読まれるのが一般的です。従って精読率も下がってしまうし、流し読みされるリスクも大きいと考えるのが普通です。
そんな普通は精読されないメルマガやセールスレターの文章において「追伸」部分の精読率が高まる理由は主に以下の2つです。
- 文章の最後は読まれやすい:スクロールし続けたら必ず最後に行き着くのと、文章の最後には大事なことが書いてありがちという読者の先入観から。
- 追伸という言葉があると目が止まる:「追伸」や「PS」と書かれていると、その言葉がフックとなり、読者の目線が止まり集中力が高まる。
そのため「ただでさえ読まれにくい文章において、追伸は特に読んでもらいやすい目立つ場所である」と言えるので、マーケティング的に「追伸」を有効活用しない手はないですね!
追伸に書くべき内容の具体例
それでは実際に「追伸」部分ではどんなことを書いていけばいいのかを解説していきます。
読者にとってほしい行動を示す
コピーライティングは「読者にとってほしい行動」を促すためのものです。
例えば、セールスレターは「読者が商品の購入ボタンをクリックして、移動先のページで決済を完了させること」がゴールなので、追伸でも購入ボタンを用意した上で購入を促すような文章を書いていきたいですね。
メルマガにおいても同様に
- セールスレターへのURLを貼って、最終的に商品の行動を促す
- 無料プレゼントをダウンロードしてもらう
- メールマガジンに対して返信をしてもらう
など、読者にとってほしい行動を追伸部分でしっかりと訴求していきましょう。
今までの内容のまとめ
読者はセールスレターやメルマガをスクロールして流し読みすることが多いですが、その場合でも必然的にスクロールは画面最下部で止まることになります。
そのため、本文を通じて伝えたいことのまとめを最後に乗せてあげて、最後しか読まない人にも重要な情報をわかりやすく提供してあげることも大切ですね。
例えば、セールスレター最下部の追伸欄で「商品やサービスの内容」を改めてまとめて紹介してあげたりするのは、よくあるパターンです。
どうしても伝えたいことの念押し
自分自身の理念や価値観や情熱など、どうしても最後に伝えたいことを追伸で伝えるのも効果的です。
追伸を設けることで「NOT READ(読まない)」の壁を超えることはできているので、実際に行動(商品購入など)に動いてもらうために、感情を震わせるような文章を書くということですね。
例えば、
- なぜこの商品を私が売っているのか
- なぜあなたがこの商品を手に取ってみるべきなのか
- なぜ今この瞬間この商品が求められているのか
- この商品の購入者が増えれば世界がどう変わるのか
などの商品販売における理念を丁寧かつエモーショナルに語っていけば、心が動かされる読者も確実に増えていきます。
本文をちゃんと読んでもらうための仕掛け
メルマガやセールスレターにおいて読者が熱心に読んでくれる場所は「最初と最後」と言われています。そのため、途中を流し読みした読者も最後の文章はちゃんと読んでくれるので、追伸部分で流し読みした途中の文章を読みたくなるような仕掛けを施すのも効果的です。
例えば、以前ダイレクト出版の『1日で3ヶ月分の顧客を集める市場独占マーケティング(著:ダニエル・プリーストリー)』という書籍を読んでいた時、最後のページにこんなことが書かれていたんです。
この本には、もう少しでカットするところだったセクションが1つある。その理由は、本に載せるのに十分なクオリティーがなかったからではなく、アイデアを表に出すのが怖かったからだ。
そのアイデアは、私に莫大なお金と、大きな時間の余裕をもたらしてくれたものであり、そのアイデアを手に入れる以前、私は時間や労力、収入を失いつつあった。ほとんど誰にも知られていないアイデアであり、それゆえ多くの人が苦戦しているのも知っている。
〜〜〜中略〜〜〜
どのセクションのことを言っているか、あなたにはもう察しがついているかもしれない。あるいは、残念なことに、まだどこかわからないかもしれない。本をざっと流し読みしただけなので、その箇所が宝石のように尊いことに気づいていないかもしれない。だとしたら、それは私とあなた、どちらにとっても不幸なことだ。
掲載を悩んだセクションがどこか、私の方から明かすつもりはない。(以下略)
その本をまさに読み終えようとしていた僕は、流し読みではなく真剣に1ページ目から読んできたにも関わらず「本当は掲載を悩んだセクション」がどこのことを言っているのか全くわかりませんでした。だから、僕はまたその書籍を最初から読み直すことにしました。
これはあくまでひとつの例ですが、追伸を読むことでちゃんと読んでなかった(かもしれない)本文を真剣に読み直してもらえるような仕掛けを作っていくといいですね。
追伸を使うときの注意点
これまで見てきたように、メルマガやセールスレターにおけるコピーライティングでは「追伸」を有効活用することで、大きな効果が期待できます。
ただ使い方を間違えると、効果が出ないどころか、売上が落ちたり信頼残高が低下するような逆効果になりかねないので、以下の点には注意をしてください。
複数の出口を読者に用意しない
読者に取ってほしい行動を促そうという話をしましたが、欲張ってあれもこれも用意してしまうと、読者は「自分がどういう行動を取ればいいのか」迷ってしまいます。そして「迷わせるような文章を書いた人」というラベルを書き手に貼ることになるので、あなたに対する信頼残高も劇的に低下してしまいます。
例えば、メルマガ本文でAという商品のセールスレターを紹介していたにも関わらず、追伸ではBという商品のセールスレターへのリンクを貼るとか。本文で「この動画を見てください」というオファーを出しておきながら、追伸ではまた別の動画へのリンクを貼るとか。
基本的には読者にとってもらう行動はひとつに絞って、複数の出口を用意しないという点に気をつけてください。
1コンテンツ1メッセージの原則を守る
何かメッセージを届ける際にも同様です。
そもそもメッセージを届けるというのは「このメッセージを受け取ってね」というオファー(提案・お願い)をしていることになります。だから「お願いを聞いてもらう」というのもひとつのゴールになるので、追伸部分で本文に登場していないようなメッセージを発信するのも避けた方が無難です。
コンテンツマーケティングの世界では「1コンテンツ1メッセージ」というのは大前提になるので、追伸部分で何かメッセージを届ける際には、本文で語った内容(あるいはそれと関連性の強い内容)を届けるようにしていきましょう。
追伸を長々と書かない
追伸が読まれる理由は「一番下にあるから」と「目立って読者の目線が止まるから」です。
追伸が大事だからといって、長々と本文並のボリュームで書いてしまうと、追伸が一番下にもならなくなるし、本文と同化して目立たなくなります。
だから「読まれやすい」という追伸のもつ最大の魅力が損なわれてしまうことになるので、追伸は長々と書かないようにしましょう。
もし長くなりそうなら「P.S」の後に「P.P.S」を設けるなど、追伸を分割するようにしてみてください。
最後に
今回はメルマガやセールスレターにおける追伸の書き方のコツをお伝えしました。
追伸の技術を有効活用することで、ビジネスの売上も大きく上がるので、ぜひ本記事で紹介した考え方を採用してみてください。