フリーランスや自営業的な働き方をしている場合、賃貸の審査に通りにくいという話をよく聞きますよね。
僕は”法人成り”こそしていますが、実際の働き方は個人事業主のようなもので、やはり大手企業に勤める会社員の方よりは社会的信用度の問題から部屋を借りる際の審査が厳しいのではないかと危惧していました。
しかし、今までフリーになってから3回引っ越しをしましたが、全3回とも自分が気に入った部屋の審査に通過し部屋を借りることができています。(しかも大手財閥系の不動産会社の物件も普通に通過できています)
この記事では、僕がスムーズに審査に通過するために意識していることや、注意したほうがいい点などポイントをご紹介していきます。
フリーランスは賃貸審査に通りにくい?
フリーランスとして働く人、自営業の人、起業して間もない人は一般の会社員の人と比べて賃貸審査に通りにくいと言われています。
なぜならフリーランスは会社から決まった額の給料を受け取っているわけではなく、収入の面で安定していないと思われやすく、家賃を滞納する危険性があると判断されるためです。
また、仕事の実態が見えにくいという理由で信用されなかったり、自宅を仕事場として使うことに難色を示されたり、何かと面倒なことを起こされるのではないかという印象を与える可能性もあります。またネット上で情報発信をしている場合は「ネット上に悪い評判が残っている」という理由で敬遠されるケースもたまに聞きます。
そのような点から、十分に収入があるにも関わらず、賃貸入居の審査に落ちてしまう人もちらほらいるようです。
そもそも賃貸審査には2種類の審査がある!
賃貸物件の審査には2種類の審査があります。
保証会社による審査と管理会社(オーナー)による審査です。
保証会社審査を通過したらオーナー審査に移行することがほとんどで、それぞれの審査では見られるポイントが違うと言われています。
保証会社による審査
借りたい部屋に保証会社の加入義務がある場合は、保証会社の審査を受ける必要があります。
この審査で見られるポイントは「家賃の支払い能力があるかどうか」です。
使用する保証会社次第で、審査の厳しさやチェックするポイントが変わると言われています。
保証会社の加入義務がない場合は、連帯保証人を立てることで対処が可能なこともあります。
ただ、収入面が不安点だと見られがちなフリーランスの場合は、保証会社を使用した方が入居審査も通過しやすくなると言われています。
管理会社(オーナー)による審査
管理会社(オーナー)による審査では、収入面以外の面で「この人をこの物件に住まわせても大丈夫か」を判断されることが多いです。
例えば、人柄はもちろんのこと、他の部屋の住人に迷惑をかけるようなことがないか、悪質なクレーマー気質ではないか、入居後に様々な問題を起こす心配がないかなどですね。
オーナーさんや物件によっては、大手企業に勤めている人じゃないとダメだとか、特定の職業(水商売の人や自宅で仕事をする人)は敬遠されるケースもあるようです。
賃貸の審査に通過するために大事な要素
賃貸物件の審査に通過するために必要なことは、
- 家賃の支払い能力があることを証明する(保証会社審査)
- 住まわせても問題ない人だと思ってもらう(管理会社審査)
この2点です。
多くの場合は、保証会社審査を通過した後に管理会社の審査があり、支払い能力の有無が争点になる保証会社審査に通過すれば、ほぼ審査を通過したも同じらしいです。
これまでに審査を受けた際にも、不動産会社の担当の方から「保証会社の審査に通過したらほぼ受かったも同然」と教えていただきました。
不動産会社の方が審査中の進捗状況を電話で教えてくれることもありましたが、保証会社の審査に通過した際には「これで7割くらい大丈夫」とか「今の住居の解約手続きを進めても大丈夫だと思う」的なことを伝えていただいたことも。
フリーランスの場合「収入が不安定なのでは?」と思われることも多いため、やはり家賃支払い能力が問われる保証会社審査が一番の関門になります。
ただ、会社勤めの人に比べて、仕事の実態がわかりにくいとか、不規則な生活を送っていそうという理由で、オーナーさんから難色を示されることもあるので「収入面以外の部分でも信頼をしてもらう」ための努力も欠かさずに行うべきですね。
支払い能力を証明するためにやったこと
- 家賃は収入の3分の1以下に抑える
- コスパの良い物件を探す
- 収入を証明できる資料を提出する
家賃は収入の3分の1以下に抑える
お気に入りの物件を見つけても、収入に対して家賃が高額な場合は、支払い能力の点から審査に通りにくいです。
目安として家賃は収入の3分の1以下に抑えた方がいいでしょう。
法人化している場合は節税のために役員報酬を低く設定する可能性もあります。
その際は、その旨をキチンと不動産会社の担当に伝えた上で、個人の収入を証明する資料の他に会社の業績を示す資料を提出するなど、別途対応を行なっていきましょう。
ただ、仮に家賃の一部を経費計上する場合でも、十分な役員報酬があったほうが審査の上では好ましいのは事実だと思います。
ちなみに僕の場合は、法人化初年度は役員報酬を低く設定していました。そのため最初に部屋を借りるときは、かなり家賃も抑えて部屋を選びました。
コスパの良い物件を探す
僕の場合は家で仕事をすることが多いので、部屋がそれなりに広いことと、内観や外観がテンションの上がるものであるということはマストでした。
またセミナーやコンサルで渋谷や新宿、丸の内など都心に出ることが多いこと、外部からの刺激が多い町に住むことも重要な要素だったので、都心へのアクセスが悪いエリアには住みたくありませんでした。
ただ、毎日通勤電車に乗る必要もないですし、1日家から出る必要もない日もあるので、家から駅までの距離や、最寄駅に急行が停まるかどうかは重要なポイントではありませんでした。
急行の停まらない駅が最寄の物件や、駅からの徒歩時間が長い物件を選ぶと、相場よりも家賃も抑えることができます。
ただ雰囲気で「駅近がいい」とか「築年数が新しい方がいい」と拘るのではなく、自分のライフスタイルにおいて本当に重要なポイントはどこなのかをしっかり考えた上で、優先順位をつけるとコスパの良い物件にも巡り会えるものですね。
収入を証明できる資料を提出する
確定申告書や納税証明書を用意しましょう。いざ審査に申し込む段階になってからの用意でもいいですが、確定申告書くらいは準備をしていった方が、少なくとも不動産屋さんからの心証はいいと思います。
ちなみに僕が法人化1年目で用意した書類は以下の通りです。
- 前年度の所得税確定申告書
- 今年度の暫定版残高試算表
- 税理士事務所作成の損益証明書
お世話になってる税理士事務所に「引っ越しするときに支払い能力の証明できる資料が必要で!」と泣きついたら送ってくれたのが上記の3点でした。
一般的には確定申告書だけでいいはずですが、まだ独立して間もなく前年度の確定申告書だけでは心許なかったこと、前年度から今年度にかけて大きく売上も利益も伸びたので、そちらも交渉材料にしたかったことから、今年度の暫定版残高試算表も作ってもらいました。
ちなみに、こうして税理士さんが作った書類を提出するのは、事業の信頼性をアピールする上で有効だそうです。
どうしても個人事業の場合は「信頼性」がひとつの焦点になるので、取引をしている会社名を伝えるとか、経理や法務に関して第三者の機関が関与していることを証明することで、「私を安心して大丈夫なんですよ!」と説得する鍵になるとのことでした。
また、身分証として保険証の提示を求められることもありますが、社会保険証を提示した時の不動産屋さんの反応はすこぶるいいです(笑)
国民健康保険よりも社会保険の方が賃貸契約やローン契約時の信頼性が高くなるそうですが、フリーランスの場合は文美国保の加入を検討するのもオススメです。
仕事の信用度を高めるためにやったこと
仮に十分な支払い能力があると証明できたとしても、その仕事の実態が明らかでない場合は、やはり審査時に悪影響が及びます。
もし自分がオーナーの立場だったら「お金は稼いでいるみたいだけど、何をしているのか実態がよくわからない人」には部屋を貸したくないですよね。どう考えても怪しすぎる…笑
自分がどんな仕事をしていて、どんなライフスタイルを送っていて、どんな人と仕事で関わりを持っていて、どう売上を得ているのか。それをしっかり説明できるようにしましょう。
事業内容をわかりやすく説明する
WEBマーケティングや広告運用、アフィリエイトやライターなど、新しい価値観の働き方で生計を立てている場合、お堅い会社に勤めている管理会社の人、WEB業界の専門知識がない人、価値観が少し古めな人には、簡単には仕事内容を理解されないことも多いです。
そのため、自分の仕事内容を丁寧に伝えると共に、できる限り相手からの信用を得られるような伝え方をしましょう。「インターネットビジネスをしています!」など言語道断です。
ダメな例:ブロガーをしてます!
良い例:WEBサイトを運営して企業の広告代理業をしています。
ダメな例:ネットビジネスをしています!
良い例:〜〜業界のクライアントを中心にWEB集客やセールスのコンサルティングをしています。
ポイントはクライアントや取引先の存在を伝えること。どういうお客さんがいるのか、どういう企業の広告を扱っているのか、その辺りを丁寧に伝えていきましょう。
社会との接点の中で仕事をしていることが伝わり、それを証明できれば、管理会社(オーナー)や実際に交渉に当たってくれる不動産屋さんにも安心感や信頼感を感じてもらうことができますからね。
ホームページを作る
審査にあたり不動産屋さんからパンフレットやホームページの提示を求められることもあります。
現実的に紙媒体のパンフレットを作るのは難しいと思うので、少なくとも自分の事業内容を紹介できるホームページは用意しておいたほうが良いです。(細部まで作り込む必要はないですが、結局それを見た人が信用するかどうかなので、あまりにも安っぽいものはオススメできません)
僕も会社のホームページはずっと用意していなかったので、1時間くらいかけてサクッとWordpressで会社概要や理念を掲載したページを作成しました。
取引先やクライアントの会社名や屋号を伝える
もし法人の取引先やクライアントがいる場合は、会社名や屋号を伝えることで、仕事の信頼性を強化することができます。
僕は個人の方に向けたコンサルティングを行う傍ら、自営業で店舗経営をされている方や法人の方もクライアントにいるので、初回と2回目の引っ越しの際の審査時にはその名称やホームページのURLを提出しました。
やはり「その仕事にちゃんと実態があるのか」は信頼性をチェックする上で重要なポイントだと思われます。
特に自営業でビジネスをしている場合は「クライアントがいる」とことが信頼性の証明になりやすいですし、仕事内容の説明をするときも、仕事における「対外的なコミュニケーション」に焦点を当てて説明すると、非常に反応がいいです。
家に人の出入りがないことを強調する
フリーランスの場合は在宅で仕事をすることもあるでしょうが、あまり「自宅を職場にする」ということを言いすぎると「もしかして不特定多数の人が物件の敷地内に出入りするのでは…?」と疑念を頂かれます。
仮に自宅で行う仕事が1人で完結するもので、家に頻繁に誰かが出入りすることがないとしても「仕事場として使う」という表現をするとイメージが悪いのも事実です。家で仕事をする場合は「実際にどんな業務をするか」と「対外的な仕事はどこで行うか」を明確に説明するようにしましょう。
僕の場合は「自宅と職場を兼ねる」という言い方ではなく、あくまで「自宅で仕事をすることもある」という言い方をしています。
イメージの問題ですが、一般企業の人が在宅でリモートワークをしたり、仕事を持ち帰ることもあるのは普通なので、そういう世間の常識の範囲内にいる人間なんだということをしっかり強調するようにしました。
結局は実態がどうなのかというよりも、どんなイメージを持たれるのかが大事なわけで「こいつめんどくさそうだな」と思われたら終わりですからね…!
- 家で行う仕事:電話やチャットでのコンサル、資料作り、サイトや動画作成
- 外で行う仕事:打ち合わせ、対面コンサル、セミナーや勉強会
このように、どこまでを自宅で行い、どこからを外で行うかをわかりやすく説明して、マンションの敷地内で問題を起こすような人ではないことをしっかりアピールしましょう。
身だしなみや言葉遣いに気をつける
フリーランスというだけで悲しいかな社会的信用はマイナススタートというのは事実です。「ちゃんとしてる人」と認識されるよう身だしなみを整えて、不動産屋や内見に行きましょう。
またあまりに派手な格好をしていたり、年齢にそぐわない高級ブランドを身につけたりしていると「何か怪しいことをしている人では…?」と勘ぐられても文句は言えません。
清潔感があって無難な格好を心がけたほうが良いですね。
僕は襟付きのシャツかジャケット、夏ならポロシャツで足元もサンダルではなく綺麗な靴を履くようにしています。
また当然ですけど、不動産屋さんや管理会社の方に対しては、腰を低くして丁寧な言葉遣いで接したほうがいいです。悪い印象を与えて良いことなど何もないですから。
不動産屋さんを味方につけよう!
色々と話してきましたが、結局のところ賃貸審査を代わりに進めてくれるのは、不動産屋の担当の営業マンの方です。
不動産屋さんと良い関係性を築ければ、不動産屋さんも自分のこと以上に真剣に頑張ってくれるでしょうし、そうでなければ、別にわざわざ不動産屋さんも最低限のこと以上はやってくれません。部屋を借りたい人はたくさんいるわけですから。
だからこそ「不動産屋さんと良い関係を築き味方になってもらうこと」は、特に審査時に不利に働きやすいフリーランスの方にとっては絶対に必要なことです。「この人にために頑張ろう!」といかに思ってもらえるか、それが審査通過の最大の鍵かもしれません。
頑張ってくれて優秀な不動産屋さんを探す
個人的な印象ですが、大手の不動産屋さんよりも、ベンチャー気質があってイケイケドンドンな感じのスタートアップ系の不動産屋さんの方が、親身になってくれたり頑張ってくれる印象があります。
一番最初に審査でお世話になったところは「僕、まだ独立して間がないんですけど大丈夫ですかね?」と聞いたら「大丈夫です!この前もニートの方の契約を済ませましたので!」と力強い言葉が返ってきて驚いたことがあります。笑
またベンチャーの会社の方が、自営業者や起業家の人の状況をわかってくれたり、例えば「SEO」とか「コンサル」という言葉を出しても、すんなりと理解してくれやすい印象です。
色んな不動産屋さんを回ってみたり、自分と同じ境遇で審査に通過し望みの物件の契約にこぎつけた人から紹介してもらってみるといいですね。
不動産屋さんに嘘をつかない
信じがたい話ですが、年収や仕事内容など、自分が不利にならないような嘘を不動産屋さんにつく人もいるそうですが、嘘は普通にいつかバレます。
そうなると不動産屋さんからの信用が一気にマイナスになりますし、不動産屋さんの業務を妨害することにもなるので、その時点で関係性はまぁ終わりですよね。
確かに自分の信頼度を上げるための伝え方をすることは大事だと言いましたが、根源的なところで嘘をついてしまうと、審査の際に最も大事な信頼性が損なわれてしまいます。
また自分が気がかりに思っていることや不安に思っていることは素直に伝えるようにしましょう。
僕も「フリーランスで信用面が心配だ」とか「節税のために役員報酬を抑えているので…」とか、気になったことはまずこちらから提示するようにして、その上で不動産屋さんに頑張ってもらうようにしています。不安点は最初に伝えた方がどう考えても信頼されますので。
謙虚で協力的な姿勢を大切に!
人として当たり前のことですが…
- 内見の待ち合わせ時間には絶対に遅れない
- 感謝の気持ちをちゃんと伝える
- 内見の時にはマナーよく過ごす
- 書類の準備などは手際よく行う
こういった姿勢は常にちゃんと示すようにした方がいいと思います。
「俺は客だぞ!」といった態度ではなく、相手に好かれる努力というか「この人のために頑張ってみよう!」と思ってもらえるように接するということはやはり大事なのではないでしょうか。
それでもこの働き方は最高だ。
確かにフリーランスや自営業的な働き方をしていると、大手企業に勤めている時よりも、不便なことがたくさん出てくるものです。
賃貸契約の審査にしてもそう。準備しなきゃいけないことも多いし、気に入った物件の審査に落ちるリスクだって会社員の時よりも大きいしで、何かと大変なことが多いのです。
ただ、自宅で作業して、決められた場所に決められた時間に出勤する必要のない働き方をしているからこそ享受できるメリットもかなりたくさんあるんですよね。好きな場所に住めるとか、時間をかけてゆっくり家を探せるとか、転勤リスクもないとか。
僕は特に自宅にいることが多いのですが、部屋の中とか家の周りも含めて「お気に入りの場所で働く」というのは人生を豊かにする魔法のようなものだと思っています。
だからこそ、ちょっとくらい審査が大変でスリリングだろうが、特に気にならない訳で。
まとめに入りますが、
- 支払い能力があることをちゃんと証明する
- 証明できそうにない場合は物件の条件を見直す
- 仕事の内容をちゃんと説明できるようにする
- 仕事における「外との関わり」をしっかり伝える
- ホームページは作っておいた方がいい
- 不動産屋さんとの関係性はめっちゃ大事
- 相性がよくて優秀な不動産屋さんを見つける
この辺りは特に重要です!
「いかに自分を信用してもらうのか」という点は賃貸審査に限らず、個人で働いて生きていく上で、必須のスキルだと思います。ぜひ参考になれば幸いです。