僕自身、コンサルタントとして、300人以上の個人規模でスモールビジネスを実践している人と関わらせてもらってきましたが、「学びの姿勢」は十人十色であり、新しいことを学び実践することが本質的に得意な人もいれば、思考や行動の癖から成長のスピード感が落ちてしまう人もいらっしゃいました。
よく「素直な人から成功するよ」なんてスモールビジネスの成功者やビジネス系インフルエンサーが主張していますが、僕もまさにその通りだと思います。
ただ、これから新しく何かに挑戦するにあたり「いえ、自分は素直じゃありません」と真顔で断言できる人も少ないのは事実で、みんな素直であろうとしつつも、結果として「素直に学びを実践できない」人になってしまっているんですね。
じゃあ、その背景には何があるかというと、多くの人が「自分自身が納得できるかどうか」とか「腑に落ちたかどうか」という概念に重きを置きすぎているのではないかと。
納得できないと行動できない人
特に仕事の場においては、
- 自分が納得できないと行動できない人
- 別に納得できなくても行動ができる人
の2種類の人がいますが、一見すると「納得した上で行動をする」前者の方が、質の高さを伴ったアウトプットをしてくれそうだし、強い信念に基づく行動を起こしてくれそうで、魅力的に感じられるかもしれません。
僕も会社に入ったばかりの頃は「俺は自分が納得したこと以外はやらないんだ!」と息巻いていた記憶がありますし、むしろ若手社員にはそれくらいの気概が必要とされているんじゃないかと思えていました。
また、アフィリエイトやWEB集客などオンラインビジネスのコンサルティングをする中でも「自分で主体性を持ってビジネスの舵をとる」のは推奨されるべきことであり、それが転じて「自分の思いを大事にする」とか「自分でちゃんと腑に落とした上で行動に移る」ことを重視している方が多いなと感じられます。
ただ、何かを新しく学び習得していく上では、自分が納得できないと行動に移せないというのは、ビジネスのスピード感を上げて成長速度を高めていく上で、デメリットが大きくなる一方だと思うんですよね。
そもそも「納得」とは何か
Google検索で「納得とは」と検索すると、以下の辞書が出てきます。
他人の考えや行動などを十分に理解して得心すること。
goo辞書
「得心」というのが難しい言葉ですが、こちらも調べてみたら、「他人の考えなどを理解して、心から受け入れること」と出てきました。
つまり、納得という行動におけるプロセスは、
- 他人の考えをインプットすること
- それを心から受け入れること
という2つの段階で構成されているということになりますね。
つまり、他者から受け取ったアドバイスや指示に対して「納得できないと動けない」という人は、インプット→受け入れるか否かの判断という二段階を経なければいけないのに対して「納得とか関係なく動ける」という人は、インプットしたらそのまま実行に移せるわけです。
この時点でスピード感が劇的に変わってしまいますね。
納得してる時間がもったいない!

個人でビジネスをしていく場合でも、会社員として働く場合でも、スピード感は超大事です。
それに「自己成長」という観点から考えても、スピード感が上がるということは、同一時間上におけるトライの回数を増やすことができますし、その分だけ多数の学びや情報を受け取ることができますよね。
Aさんが「これは納得できないしな〜」とストップしている間に、Bさんはどんどん試して成功体験も失敗体験もたくさん積み重ねることができますし、その結果としてより大きな成長を受け取れたり、あるいはチャンスに巡り会えたりできるわけです。
その結果、納得しないと動けないAさんがずっと同じ場所で留まっている間に、納得しなくても動けるBさんは驚異的なスピードで新しい知識や学びを吸収し、様々な経験をすることで、行動や選択や判断の精度を伸ばしていきます。
その中で自分の強みに気づいたり、人生を変えるような貴重な出会いを経験したり、内面的にも大きな成長を遂げることは容易に想像できますよね。
今のレベルで「納得」できることに意味はない
これから成長していきたいのであれば、それはつまり、今の自分のステージから新しい更に上のステージへと登っていく必要があります。
となると、今の自分のレベル感で納得できることだけ受け入れたとしても、そこに成長は存在しないんですよね。
以前、著名な起業家さんの講演にて「本を読む時に自分の納得できるところだけ吸収して、納得できないところはサラッと読み飛ばす人が多いけど、それだと学びの量が減る。今の自分では納得できなかったり腑に落ちないことを吸収するから、新しい考え方が身につくんだ」という話を聞いて感銘を受けたことがありますが、まさにその通りだと思います。
今の自分が腑に落ちることだけ吸収するのは、学びというよりも、単なる自己肯定に近いかもしれません。
現時点での常識を超えるような話は、すぐに納得できたり腑に落ちたりするものではないでしょうから、まずは自分の常識の範囲外のことを無理矢理にでも受け入れて行動に移してみる。その上で時間をかけて自分のものにしていくのがベストなのではないでしょうか。
理解と納得を同時にやらない。
納得とは「他人の考えや行動などを十分に理解して得心すること」であると上述しました。
多くの人が陥りがちなのが、「他人の考えや行動を十分に理解すること」と「得心すること(心から受け入れること)」を無意識のうちに同時にやろうとすることです。
「理解すること」と「受け入れること」は本来全く別の作業なはずなのに、それを無意識のうちに一緒に行おうとすることで、自然と「理解」と「受け入れ」を同一のものだと思い込む癖がついてしまいます。
つまり「ただ理解さえすればいい」にも関わらず、自然と無意識に「心から納得しなければいけない」と勘違いをしてしまい、そのせいで物事を前進させる上での効率やスピード感が損なわれてしまうということですね。
理解と納得を分離して捉え直すことは、円滑に学び成長する上で非常に重要な考え方です。
情報と解釈を分離する。

理解と納得を分離して捉えるためには、何かをインプットする際に「情報」と「解釈」を分けて考えることが効果的です。
例えば「量をこなすことで質が上がりやすい」という学びを受け取った時、そのメッセージは「情報」になりますが、それを「とにかく量をこなせば成功できるんだな」と受け取ってしまうと、それは自分自身による「解釈」になります。
多くの人は何かの情報を受け取る時、それと同時に、自分なりの解釈を自然と無意識に挟んでしまうものです。
すると与えられた情報を適切に受け取ることができなくなりますし、情報を感情とセットで保存してしまう癖がついてしまいます。
そうなると何がマズイかというと。情報を正確にキャッチすることができなくなるんですよね。
名著と呼ばれるビジネス書をどれだけ読んでも、書かれている情報を自分の主観で歪めてしまうと、本に書かれている内容と全く違う話を受け取ってしまうことになりかねません。
主観よりも客観を重視しよう。
「納得しないと動けません」という人は、
- スピード感が著しく落ちる
- 成長よりも自己肯定を優先してしまう
- 情報にノイズを入れてしまう
という点から、仕事を円滑に進めていくことや、あるいは自分を成長させる上で不利益になることが多いという話でした…!
「納得」とか「腑に落とす」というのは、いわば超主観的な概念ですが、主観よりも客観的事実や客観的判断を優先して動ける人の方が何かと成功したり評価されたり、あるいは成長していく可能性が高いものです。
自分の思い通りにやって成功している人は何かと目立つので、自分の感情のままに生きたり、自分らしさを大切にすることが正解だと感じることもあるでしょう。
当サイトも「SELFISH WORKS」というコンセプトを掲げて、自分らしく生きることを提唱していますし、本当の意味で自分の想いを大切にして生きていくことは何よりも尊いことだと思っています。
ただ、自分の感情に率直な行動をとって成功しているように見える人でも、その裏には緻密な戦略が存在するのがほとんどですし、どちらかというと客観的視点に基づいて「ここでは感情を優先すべきだ」と冷静に判断して、敢えてそうしているものだったりします。
「納得できることしかできない」とか「腑に落ちないと動けない」ことによる機会損失は非常に大きいということを踏まえた上で「主観>客観」で優先順位をつけていくほうが、何かと得られるものは大きいという前提で動いていけるといいですね。